ヒンドゥー教最大級(世界最大級とも)の祭典といわれるクンブメーラ祭にて、私あやたかぎは、ある聖者のシシャ(弟子)として、アシュラムに1週間ほど滞在し、セヴァ(奉仕)をするツアーに参加する機会を戴いたのですが、そこで専属にプジャ(儀式)を執り行うパンディット(神官)として参加していた夫ニティッシュとご縁をいただきました。
クンブメーラ祭の開催地、アラハバードに着いて初めて見た儀式が、インドで有名なシヴァ神のシンボルでもあるシヴァリンガムのプジャだったのですが、そのプジャを執り行う彼が一瞬だけ見せた笑顔を垣間見た瞬間に、彼の魂の美しさを感じ、「わたしもあんな風に、美しい魂で自分の人生を生きていきたい」と感じたのがきっかけです。
乾季で水が干上がったガンジス川の川底部分に建てられたアシュラム。何千年と人々が祈りを捧げ続けている聖なる場所。
そんなホーリーな空間で、ただ無心にセヴァ(奉仕)をしていく中で、自分の内側と深く繋がることができ(たぶん「内観する」と似た感じでしょうか?)、毎日が「祝福」という感覚を、生まれて初めて体感しました。
自分という存在はすでに完璧で、満たされている。このあるがままの自分であることに祝福を受けたことが、自分の魂の声に偽ることなく正直に生きていく勇気を、強く持てることに繋がったと思います。
そこでなぜか「神の道を生きていく」と決心していたのを覚えています。自分の魂が望んでいることを見つけた感じがしました。
クンブメーラでの短い滞在を終え、空港まで向かうバスの中で、いつの間にか淡い恋心に移り変わっていたわたしは、滞在中に同室だった友人に、冗談交じりで妄想話をし始めました。
「もし、あのパンディットの方とわたしが結婚したら、彼も(わたしたちの)子どもも、日本のアシュラムで一緒に暮らせるよね~。そのアシュラムで彼がパンディットをやれば日本で暮らしていけるよね~」
「いやいや、そんなのある訳ないし!」と、自分で言っておきながら、即座にこの妄想話をかき消しました。
すると友人がわたしにこう言い、ハッとさせられたのです。
「あや。いま脳裏にそのイメージが浮かんだ、っていうことは、いままさにその可能性が生まれたってことなんだよ。イメージ出来ないことは実現できないでしょ。イメージしたってことは、実現の可能性があるってことを信じなきゃ」
「何のためにこのクンブメーラに来たの?いっぱい奇蹟を見たでしょ?感じたでしょ?まだ信じられないの?」
そうは言っても彼との間に何ひとつ共通項がない出発点。この時のわたしは未だ彼のことを何も知らず、唯一の手がかりは彼の名前とメールアドレスを知っていることだけでした。
そんな中、そのバスの中で偶然にも驚くべきニュースがアナウンスされたのです。「この聖者が5月に来日することが新たに決まり、パンディットである彼も連れてくる」と。
「また会える!」
驚きました。ただそれだけで嬉しかった。どうにかなろう、とか、どうにかしよう、とは考えませんでした。
ただただ、この偶然に心から感謝しました。
さて、次にどうしよう?
まずは自分の中に起きた感情を客観視してみて分かったことを整理する現状把握と、具体的にいま出来ることをただやること。
その2つだけでした。
わたしは彼と出逢った瞬間に、自分が生きる上で最も大切にしたいこと、ライフパートナーに求めることが明確に分かりました。
「魂が美しく有ること」
ただそれだけ。
自然とともに生きる暮らしがしたい、とか、結婚相手は頭が良くて仕事が出来てサバイバル能力が高い人でないとダメ、とか、以前は人生に対してたくさんの理想を持っていました。
クンブメーラという聖なる舞台が、あらゆる曇りを取り払ってくれたおかげで、本来の魂の声を聞き取ることができたのかもしれません。
次に、いま具体的にできること。「メール」を送りました。
返事が来るかどうか、今後どのような関係が築けるのか、なんてわかりません。でも、未来に期待や不安を寄せることよりも、いま出来ることを最大限やってみる、ことだけを決めました。
そして、自分の行動とその結果について(結果に対して内から湧き上がる感情はじっくりと味わったあとで)、まずはその事実を捉え、あとはすべて創造の根源が導いてくれる、とすべてを委ねました。
信じるとは―――。
すべてを創造の根源に委ね、いま、にだけ意識を置いて、いま、出来ることを最大限やりきること。
わたしはこう、新たに理解することができました。
その後、何度かメールをやり取りしたあと、同年3月末に、彼とfacebookで繋がりました。当時、仕事を辞めたあとで時間があったことも手伝って、毎晩のようにfbでチャットをするようになりました。
そこで初めてお互いの年齢、住まい、仕事、など最低限の属性を知りますが、お互いの考え方などを交換するうちに、「あなたのような魂の美しい人と一緒になりたい」と自分の意思を伝え、4月1日にお互いにともに生きていくことを決めたのです。そうです、電撃です。
ではその先、どうするか?
国、言葉、宗教、習慣、人種、年齢、すべてにおいて共通点がない中で、愛からの行動を選択する、ということだけが私たちに共通していることでした。
自分たちの家族をはじめ、あらゆる反対の圧力に合いました。
「敬虔なパンディット家系である彼の人生を台無しにするつもりか」、「あなたの行動はエゴでしかないことを知るべきだ」などの言葉を受けながら、心折れそうになっていたわたしは、そのころ彼のカーストすら知りませんでした。基本情報についてほとんど何も知らなかった。
「彼のためにわたしが手を引いたほうがいいかもしれない・・・」。ヨガの先生やソウルメイトに助けを求めると、アドバイスより先にこう聞かれました。
「あなたのハートはなんて言ってるの?」
クンブメーラの滞在で強烈に解ったことは、わたしが人生の中で最も大切にしたいことは「魂が美しく有ること」。「魂が美しくありたい」という願いは、エゴではなく、純粋なハートからの声だということをわたしは知っていました。だからわたしはライフパートナーに魂が美しい彼を選び、彼とともに生きていくことを決めたのです。
「彼もわたしと一緒になることをほんとうに望んでいるのだったら、まずは自分のハートの声に従うことが大事」という二人からのアドバイスを信じました。
その後は、次に会える日をターゲットに、毎日毎日、いま出来ることを最大限やりきることだけにフォーカスして過ごしました。
2013年は、彼との出逢いから始まり、
双方の両親からの結婚への反対、
国際結婚の手続き、
彼の短期ビザの申請、
来日後の短期ビザから長期ビザへの切り替え、
日本でのベジタリアン生活、
外国人と住む日本での家探し、
日本での仕事、
日本での墓守をする身として姓名をどうするか、
名の変更のための家庭裁判所出廷、
などなど、初めてで知らないことづくしの中、解決すべき課題が山積みでした。
そしてこの大半が、対話を要し、法的な手続きが絡む中、私のインドビザの有効期限、彼の日本ビザの有効期限、など時間的制約がある中でのやるべきこと。まさにロールプレイングゲームの中にいるような、スタンプラリーをしているような感覚でした。
ひとつでも予定を外すと次の予定はすべて組み直しになる・・・そんな状況下においても、わたしは信じました。
「すべてを創造の根源に委ね、いま、にだけ意識を置いて、いま、出来ることを最大限やりきる」
そしてわたしは宇宙の法則を知っていました。
「もし、わたしが彼と一緒になることがわたしの人生の計画に入っているのなら、宇宙(創造の根源)の応援が働きすべてはうまくいく」それが、答えだと。
また、わたしはこの時、自分のハートの声に忠実でいました。
いま、にフォーカスし続けることで、
目的のために、いま、出来ることを最大限やりきることだけに集中することで、
思考が明晰になり、一切の不安に打ち勝てる強い意思を持ち続けることができました。
思考が明晰になると、迷いがなくなります。
そして、つぎに何をすれば良いのか、おのずと進むべき道筋が、光の筋のように見えてくるのです。
そして、すべては遅れることなく期限通りに、わたしの計画通りに、滞りなく達成されていきました。
すべての扉が開いたのです。
わたしはこの、人生最大級の経験を通して、自分の幸せな人生をクリエイトするために必要な3つのことがあると知りました。
1.じぶんのハートの声を聞き、従うこと
わたしたちのあたまに毎日浮かんでくる思考の数。1日に約3万回~9万回と言われています。忙しい毎日、時間に追われる毎日を過ごしていると、たくさんのタスク、~ねばならない、予定の計画、など、数多くのマインドの声がハートの声を遮ります。
マインドの声は口数が多いです。たとえばこのように。
「わたしが○○できない理由は、××の都合で△△が障害になっているからで・・・」
ハートの声はシンプルです。
「わたしは(ほんとうは)○○したい」「こうありたい」
ハートの声を鮮明に聞くためには、マインドをストップする必要があります。
思考をとめる。思考するのを、やめる。
夕陽が織り成す色彩にハッとしてこころを奪われたとき、
思考は止まっています。
海の中をのぞき色鮮やかな生きものたちと戯れているとき、
思考は止まっています。
道端に咲く一輪の花の力強さに足を止めたとき、
思考は止まっています。
自然の中にある美しさや生命力に意識を向けると、思考が止まり、代わって、ハートがひらき始めます。ハートで感じるセンサーが始動します。わたしたちのハート全体で、その美しさや生命力を受け取る準備を始め、そのエネルギーをわたしたちのハートの中に取り込みます。
ハートをひらき、エネルギーを受け取ったとき、どんな変化を感じますか?
その変化に注視してみてください。ときに言葉で表現することは難しいかもしれません。わたしたちの感情、感覚のほとんどは、言葉で表現できないほど豊かで彩りに溢れています。ただ、その感覚を味わってみてください。
「自然の中にあるものへ意識を向け、ハートをひらき、受け取ったエネルギーを最大限感じてみる」
繰り返しやってみることで、ハートの声にだんだんと気づきやすくなってくるのが分かると思います。会社勤めや社会的な一般常識に長く身を置いていると、最初は難しいかもしれません。
わたしは3年ほど前からずっと、ハートをひらく練習をしていました。ハートの声を鮮明に聞くためには、ハートをひらく訓練が必要だと、わたしのハートが教えてくれたからです。
ハートの声が聞こえたあとは、そのメッセージを受け入れるだけです。
2.宇宙の法則を知ること
温められた空気は上へ昇るように。
水と油は混じり合わないように。
厚い雲から落ちてきた雨粒は流れをなし、やがて大海へ流れ出でるように。
この地球上の現象も、宇宙の法則のひとつです。
引き寄せの法則、これも宇宙の法則のひとつです。
ハートの声に従うと、自分が一番幸せだ、と感じられる充足感に満ちた人生を創り出すことができる。
どうやらこれも、わたしの経験から検証してみても、宇宙の法則のひとつです。
ハートは幸せな人生を創造するための羅針盤です。
宇宙の法則を知り、味方に付けて行動するのとしないのとでは、人生における幸福度がこんなにも違ってくるのか、ということを、実体験をもって理解しました。
宇宙の法則は、ほかにもたくさんあります。でも、すべての根源はひとつなのです。
いま、宇宙の法則に沿った生き方を選択してみる。決意して行動を始めると、いまから人生が変わり始めます。
3.信じること
「すべてを創造の根源に委ね、いま、にだけ意識を置いて、いま、出来ることを最大限やりきる」
ハートの声が掴めていれば、宇宙の法則を知っていれば、不安から逃れることができます。それでも不安がよぎったら、基本に立ち返ります。
思考をとめ、ハートをひらき、ハートの声を聞き、宇宙の法則を味方に付ける。
そしてなにより、
「わたしを創り給うた創造の根源があったことを思い出す」
Shree Vidyaでは、ハートをひらく経験の場を提供しています。ここにはマインドをとめ、ハートの声に耳を傾けるのに最適な環境があります。
ハートの内側をshantiシャンティ(心の平安)で満たしましょう。どこにいても、誰といても、周りで何が起こっても、いつでもshantiシャンティであれるよう、反復してみましょう。わたしも日々、練習しています。
いまでは怒り・悲しみ・後悔などのネガティブな感情を持つ時間がほとんどなくなり、あったとしてもその滞在時間は短くなり、ネガティブな感情に対して自分のエネルギーを消耗させることがなくなりました。
外的要因に振り回されることなく、自身の声に純粋に従っていられたら、これほど幸せでいられる人生はない、そう思いませんか?
自分のハートの内側と強くつながることができたら、不安などのマインドが入ってくる余地を与えません。ハートの声を受け入れる準備さえ整っていれば、例外なくすべてのひとが人生を変えることができます。
いま、人生を変える一歩を踏み出す勇気を、少しだけ持つ、と決めてみませんか?
わたしたちそれぞれが活かされ個性が輝く人生を、ともに、創造していきましょう。